肝臓病のかゆみの治療
肝臓病の患者さんの多くがかゆみに悩まされているかと思います。なかには「夜、かゆくて眠れない」、「あちこちかきむしってしまう」など、生活の質が著しく低下してしまうケースもあります。また、肝臓病のかゆみは、かゆい部分をかいても治まらなかったり、一般のかゆみ止めが効きにくいという特徴があります。
肝臓病そのものがかゆみの原因となりますし、C型肝炎の治療薬であるマヴィレットの副作用でかゆみが起こることもあります。
肝臓病によるかゆみの特徴
かゆみの大多数は皮膚疾患に伴って出現します。皮膚でかゆみを起こす物質が作られ、皮膚の神経を刺激します。
ところが、肝臓病の皮膚のかゆみは皮膚に由来しないことが多いです。肝疾患、特に胆汁うっ滞(胆汁の流れが悪くなる)でかゆみが生じやすくなります。
(1)見た目に異常がなくてもかゆい
(2)かいてもかいてもかゆみが治まらない
(3)全身がかゆい
(4)かゆくて眠れない
(5)一般的なかゆみ止めが効かない
当院のかゆみの治療
当院のかゆみの治療について紹介します。
1⃣抗ヒスタミン薬
肝臓病のかゆみでも、まずは抗ヒスタミン薬で治療します。
エピナスチン(1回20㎎を1日1回)
フェキソフェナジン(1回60㎎を1日2回)
ザイザル®
ルパフィン®
しかしながら、抗ヒスタミン薬は肝臓病のかゆみには効かないことが多くあります。
2⃣レスタミンクリーム
塗り薬としてレスタミンクリームも処方します。抗ヒスタミン作用で、皮膚のかゆみを和らげます。
用法:症状により適量を1日数回かゆいところに塗ります。
3⃣レミッチ®
抗ヒスタミン薬で効果がない場合、レミッチを処方します。ただし高額なため、効果が乏しい場合は中止します。
用法・用量:1日1回2.5μgを寝る前に内服します。
4⃣漢方薬
皮膚のかゆみに対して、漢方薬が有効な場合があります。
ツムラ86 当帰飲子(トウキインシ)
当帰飲子はかさかさしたかゆみ、老人性皮膚掻痒症に有効です。
ツムラ22 消風散(ショウフウサン)
消風散はじゅくじゅくしたかゆみに有効なので、肝臓病のかゆみには効果が乏しいかもしれません。
5⃣強力ネオミノファーゲンシー(強ミノ)
グリチルリチン製剤です。1回20mlを静脈注射します。使用頻度が多くなると、低カリウム血症に注意が必要です。